たまには高級店!
ミシュラン二つ星、NHKプロフェッショナルへの出演、食べログ4.53という高得点、と非常に評価されているお店である『草喰 なかひがし』に行ってきました。
京都で最も予約の取りにくいお店(これよく出てくるけど誰がどうやって調べたんだろう?)と言われていますが、最近イロイロとあったようですんなり予約が取れました。
端的に言うと、美味しいだけでなく、懐かしさと感動を味わえるお店でした。
これが二つ星のお店なのか、すごい!
ということで、『草喰 なかひがし』のお昼のコースについてご紹介します。
ミシュラン2つ星『草喰 なかひがし』
銀閣寺前にあるお店
銀閣寺へと続く哲学の道の入口あたりにお店があります。
上の写真は道の向かい側から撮っていますが、ここ(写真の背後)には銀閣寺交番があります。
最寄駅からは徒歩25分くらいかかってしまうので、銀閣寺行きのバスを使うか車で来ることをオススメします。
2019年12月に食中毒により3日間の営業停止
冒頭に書いた”最近イロイロとあった”というのがこの食中毒事件です。
ミシュランの星付きのお店で食中毒ってあまり聞かないですが、8人が症状を訴えて3人からノロウィルスが検出されたそうです。
保健所から3日間の営業停止命令が下りました。
▼情報ソース
Yahoo!ニュース:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191227-00000199-kyodonews-soci
山陽新聞:https://www.sanyonews.jp/article/971683
食中毒を出すとそれなりに信頼も低下してしまうと思いますし、大事をとってそのお店には行かないという選択をされる方もいると思います。
そのあたりは各人の判断ということで・・・。
予約方法
京都で最も予約が取れないお店と言われていますが、上記の出来事の直後であったためか、実はすんなりと予約が取れました。
電話をかけた週末の土曜のお昼という直前さだったにも関わらずです。
ただ、当日は満席でしたので、たまたまキャンセルで空いたのか、運が良かったのかもしれません。
通常の予約方法としては、毎月1日に翌月分の予約を電話で受け付けているそうです。
→詳細は公式サイトでご確認ください。
また、実際にお店に行ってみた時の様子なのですが、食べ終えた常連っぽい方が半年ほど先の予約をしていたので、そういう予約も受け付けているようです。
『草喰 なかひがし』のお昼のコースを食べてみた感想
お昼のコースについて
『草喰 なかひがし』には決まったメニューはなく、その日に収穫・仕入れた物に応じて料理が作られます。
当日も特にメニューが置いてあるということもありませんでした。
ただし途中で、「次はこうこうこうなります、その次の料理は肉と魚を選べるのですがどちらにしましょう?」と、1回だけ選択肢のある料理がありました。
また、『草喰 なかひがし』のお昼のコースでメインとされているのが、かまど(京都ではおくどさんというらしい)を使って炊いたご飯なので、それは間違いなくあるものと思います。
実際のコース料理
それでは桜が咲き始めた頃に実際に出てきたお昼のコース(税込8,800円)をご紹介します。
一応、日本料理っぽい献立構成になっていたのでそれ風に書いてみました(出てきた順序は掲載の通りです)。
▼先付
イイダコ、イノシシ、はまぐりや、菜の花、ノビル、そら豆など春の旬のものがズラリ。
下に敷いてあるのはわさびの葉で、はまぐりの中身を巻いて食べます。
特に目を引くのが椿を模した赤カブで、中にはねっとりとしたイモ類や様々な具材が入っており、オススメされた通り一口で食べると、様々な食感と味が重奏的に現れてとても面白かったです。
味は言わずもがな全て美味しかったです。
▼先付その2
ふきのとうの白和えです。
僕も妻も田舎のおばあちゃん料理で育っているので、これは懐かしい味でした。
食感としてこんにゃくとしいたけ(だったかな?)が入っており、そのアクセントが飽きさせません。
これめちゃくちゃ美味い!
ちょっとこんにゃく多すぎなような・・・
▼椀物
白味噌の汁に、とち餅とさやえんどうが入っています。
このさやえんどうは京野菜で豆が大きい種類です(さやえんどうとスナップえんどうの中間くらいをイメージしてください)。
かなり甘めの汁に、素朴な味のとち餅と、シャキッとしたさやえんどうという絶妙な組み合わせでした。
▼お凌ぎ
カウンターの中にある竈(おくどさん)から取り出して、「すぐ食べて下さい」と出てきたご飯。
「米からご飯に変わるちょうど瞬間です」とのことで、食べてみると米の芯があるのに噛むと崩れて甘みが広がるという感じで、アルデンテご飯と名付ければいいと思います。
ちょっと写真では伝わりにくいのですが、このお米の美しいこと!
これを見て味わうだけでもこのお店に行った価値はあるのではないでしょうか?
▼焼き魚
イワナの焼き魚なのですが、頭・胴体・尻尾で別々の焼き上げ、骨は素揚げされており、手の込んだ一品です。
無農薬の柑橘類(名前は忘れてしまいました・・・)の汁をかけて、柑橘はそのまま皮ごと食べて下さいとのこと。
この柑橘うま!!!
と、普段から無農薬レモンを同じようにして使って食べている柑橘大好きな僕は大興奮。
イワナうま!!!
と、妻は魚の方に感動。
頭・胴体・尻尾で全く別の食感が楽しめるのが、この焼き魚のすごいところです。
頭と尻尾は噛んだ瞬間にパッと崩れて風味が広がり、胴体は身がフワフワの状態です。
▼向付
続いてはお刺身なのですが、またまた川魚で、鯉の洗いです。
3ヶ月ほど綺麗な地下水で育てたという鯉は全く臭みはありません。
鯉の見た目が嫌いな妻ですが
ついに鯉を食べるときがきた・・・あれ?!全然美味しい!
と、安心して完食していました。
写真でも分かるようにただの鯉の洗いではなく、皮の湯引き、鱗の唐揚げ、骨から取った出汁の煮こごりと、鯉を全て味わう一品になっています。
食べ方としては醤油をかけてしまって全部混ぜて食べて下さいとのこと。
皮はぷにぷに、鱗はパリパリと食感が楽しいです。
煮こごりはかなり凝縮されているようでこれだけは少し生臭さを感じましたが、おそらくそれも含めて鯉のすべてを味わうということを示しているのだと思います。
▼炊合せ
たけのことワカメの炊合せに乾燥させた山椒をふりかけています。
アクセントに素揚げした里芋も添えられていました。
春を感じる一品ですが、ワカメがかなり多くて(写真に見えていないが底までぎっしり)、このあたりで2人ともお腹いっぱいになってきました。
めっちゃ美味しいけど結構お腹いっぱいだ・・・
これで8,000円ってすでに安くない?!
▼鉢肴
一般的なコースではメインと呼ぶと思われる、肉or魚の料理です。
まずは肉の方から、鹿肉のグリルです。
いちばん最初に出てきた猪肉は豚肉のようでいて野性味を感じるものでしたが、この鹿肉は正直に言って牛の赤身肉と違いが分かりませんでした。
良く言えば臭みがなくて美味しいということなのでしょうけど、それだと鹿肉を食べる意味はあるのかよく分かりません。
実はこのお皿で一番美味しかったのは肉の上に乗っている薄く削られたチーズです。
岡山産と言っていたのですが、これがべらぼうに風味が良く、鹿肉と併せて食べるとミルキーな味わいが仔羊肉のようにも感じさせてくれました。
次にお魚ですが、琵琶湖のホンモロコの炭火焼きです。
琵琶湖の固有種とされていますが、近年では日本のいくつかの湖に移植されたり養殖されたりしているようです。
以前に琵琶湖近くの道の駅に行ったときに存在を知り、このとき初めて食べることになりました。
これは子持ちのホンモロコで、食べたことのない人に例えていうとシシャモのような感じです。
基本的には白身で淡白なのですが、しっかりとした旨みが広がります。
鹿肉とホンモロコなら、断然にホンモロコがオススメです。
琵琶湖が近い京都ならではですし、遠方から食べに来られた場合でもホンモロコを味わう方が有り難みがあると思います。
▼止め肴
そろそろメインのご飯で終わりかな?と思いきや、小皿がどんどん出てきます。
中央下は鮭節でおひたしにしたほうれん草で生麩が乗っています。
上は左から、ブロッコリーとカリフラワーの酢の物、おから(紫人参で色付け)、お漬物です。
このお漬物は美味しい!!
乳酸菌発酵みたいな味がする
これ、おばあちゃんが漬けすぎた漬物の味だ。懐かしい・・・
▼食事
そしてついに、『草喰 なかひがし』のメインとされる、竈(おくどさん)で炊いたご飯です。
これをメインと言い張るだけあって、本当にご飯だけでもこのお店に来る価値があると思います。
1粒ずつちゃんと存在感がありながらも、噛むとその粒が弾けて甘みと水分が溢れ出すご飯です。
僕が子供の頃はガス釜で炊いたご飯で、今の電気炊飯器よりも美味しかったですが、本当の竈(おくどさん)で炊いたご飯はそれよりも異次元の美味しさです。
そのご飯についてくるのが、炭火焼きのメザシです。
これがまた美味しい!
有名な漫画・アニメの”美味しんぼ”で、京都の大金持ちの京極万太郎が、ご飯・味噌汁・イワシの丸干しの3品だけを食べて感動するシーンがあります。
アニメを見ていた僕たちはそんなアホな!と思っていたのですが、『草喰 なかひがし』で実際それに近いものを食べて感動しちゃいました。
▼美味しんぼを見たことが無い方はぜひUNEXTでご覧ください(上のくだりは2話目です)
と、話がそれてしまいましたが、元に戻します。
普通のご飯の後は、おこげ(パリ)と、お茶漬け(ニューヨーク:入浴)が味わえます。
実はここまで触れていなかったのですが、各品を出すときにご主人の中東さんは関西人らしいダジャレ満載で提供してくるのです。
こう聞くと「うざいかも」と思うかもしれませんが、しつこい感じは全く無く、喋りなれている様は落語家のようでもありました。
こちらがニューヨーク。
ダシ汁かと思いきや、ただのお湯をかけているのがニクイ演出で、ここでもお米の美味さを存分に味わえます。
▼水菓子
最後はイチゴと甘酒で〆。
僕は甘酒は嫌いなのですが、ここは嫌なアルコール風の匂いもなく、あま~いご飯という感じで美味しく食べられました。
食べ終えての感想
まず全体に渡って素材の良さを最大限に引き出すという徹底したコンセプトが体現されているところが素晴らしいと思います。
僕も妻も田舎のおばあちゃん料理で育っているので懐かしさも感じましたが、そうでは無い今の若い人たちは新しく感じるのかもしれませんね。
もう1つ良かったと思うのが、海の魚ではなく、川の魚を多く使っていることだと思います。
京都で海の魚を出されても嬉しくないので(お金を出せばどこでも同じものを食べれられる)、京都でしか食べられないようなホンモロコを始めとした川魚フルコースは意味があると思います。
随所に京野菜を入れてくるのもポイントですよね。
心に残った料理を一品だけあげるとすると・・・
ホンモロコ!だけどイワナも美味しかった・・・
やっぱりご飯かなあ
という感じ。
最初は「うちのメインはご飯」と言っているのが冗談なのか分からなかったのですが、食べ終えた今となっては本気で言っていたと分かりました。
逆にちょっとあれ?!と思ったことを1つ。
『草喰 なかひがし』という店名にある”草喰”の通り、もっと珍しい野草とかがバンバン出てくると思っていたのですが、お昼のコースにはほとんどありませんでした。
ノビルとつくしが珍しいといえば珍しいのですが、でもかなり一般的な部類ですよね?
その部分が拍子抜けしたというか、あれそういえば野草は出てこなかったじゃん?と思ってしまいました。
最後に料理以外の部分。
やっぱりミシュラン2つ星というのは料理だけでなく、接客や提供のエンターテイメント性もあるのだと思いますが、そういう部分でも目につくところは全くありませんでした。
印象的だったのが、弟子がミスをしたときにご主人は小声で注意するだけだった場面です。
弟子からは「すみません」という謝りすらなく、無言で作業していました。
おそらくあれはお客さんの前で叱ったり謝ったりするというシーンを見せないように事前に教育されているのだと思います。
客の面前でそういうシーンを見せられると興醒めなので、こういう対応には感心しました。
ということで総評としては
ミシュラン2つ星になると美味しさだけでなく感動がある!
です。
一度は行く価値のあるお店に間違いありません。
京都らしさも感じられるので、遠方から来たお客さんをもてなすにも良いお店だと思います。
アクセス
基本情報
住所:〒606-8406 京都府京都市左京区浄土寺石橋町32−3
営業時間:12:00~14:00、18:00~21:00(月曜定休、月末の火曜も休み)
叡山電鉄本線の元田中駅から徒歩23分、出町柳駅から徒歩25分です。
銀閣寺の入口付近にあるので、銀閣寺行きのバスを利用するのも良いと思います。
Webサイト
公式サイト:https://www.soujiki-nakahigashi.co.jp/
駐車場
駐車場はありません。
近くのコインパーキングを利用しましょう。
ただし、銀閣寺付近であるため、観光地価格の料金になっていることに注意してください。
僕はちょっと遠めの安いコインパーキングを利用したのでご紹介します。
▼最近のコインパーキング
『草喰 なかひがし』の真横にはタイムズ銀閣寺があるのですが、かなり高いです。
昼間の料金は平日は30分220円ですが、休日は20分440円です。
最大料金はありませんので、休日に滞在2時間とすると2,640円ということに・・・。
▼徒歩3分離れたコインパーキング
僕が利用したのは徒歩3分の距離にあるキョウテク浄土寺パーキングです。
こちらは平日・休日問わず、昼間は40分200円(最大800円)という料金です。
滞在2時間とすると600円になり、もし過ぎてしまっても最大の800円が適用されますので安心です。
タイムズ銀閣寺と比べると1/4くらいの料金ですので、断然こちらがオススメです。